遠流日記

登山・滝見・バイク等、趣味日記  ★沢パートナー大募集!★

石空川北沢 離山 地蔵岳(鳳凰山)

チャレンジ要素が多分な山行を試しに行く。
今の自分がどれだけハードな行動に耐えられるか…。
沢登りと藪山の組み合わせ。
石空川北沢を詰める→離山を踏む→地蔵岳へ→燕頭山を経由して下山、という計画。
ネット上では泊りの記録はあるが、そんな余裕は無い。
累計標高差は2000mいかないし、距離も17km程度で、そのうち下山が一般道で約5kmであれば、十分に日帰りは可能と判断した。
まずはアプローチの通行不能となった精進ヶ滝林道の入口。

駐車地点から僅か。入口が最早車の乗り入れなど到底できない登山道レベル。

所々崩落が激しいが、通行に支障はない。
かなり状態が良い所もあった。

20分そこそこで地蔵大橋。
この廃林道には不釣り合いな立派な橋だ。
そして、北の展望も良い。

八ヶ岳がすっきり。天気は良さそうで安心。

林道終点へ。10年近く前にこの少し先の北精進ヶ滝が見える所までは来たことがあった。
眠気を殺しながら歩いていたせいか、燕頭山への旧登山道が分からなかった。
押し出しの場所で、先行者の足跡があった。行先が少し気になる。
ネット上にある記録では梯子があるそうなのだが…、スルーしたか。

適当に尾根に取り付き、まずは標高を上げつつ、下降尾根までトラバースをしていく。
獣道が錯綜しており、ルート取りに結構注意が必要。

目的の尾根の様子。
藪が酷いような写真だが、比較的しっかりした踏跡がある。多分、これも獣道。
適当に下っていくと大きめの岩が出る。注意が必要なのは2箇所。
1箇所目は右を2箇所目は左を行った。
2箇所目は、かなり際どかったので、ルート取り失敗と思う。
その岩場の下には初めての目印があった。

下から見ると、やっぱり反対側が良さそう。
そこからは危険なく沢に降り立つ。
今日はイドログリップの靴で歩き通す。

小滝を越えて、中々綺麗な滝。
落差は4m程度か。右から越える。

もう一つ滑滝。スラブが滑っている上、岩が磨かれており、登れない。
多分フェルト靴でも厳しいと思う。

二俣手前で右岸支流から水量乏しい滝が落ちていた。

二俣直前のこのポイントでは、小滝右の岩を腕力勝負でマントルを返して越えた。
左からも行けそうな感じだった。

さて、南沢のスラブ滝がすぐ横。
上にも同じ顔をしたスラブ滝があり、全く登れる感じではない。

二股から、北沢奥には滝が見えるが、取り付きまで腰上まで浸かるので、さっさとそのまま左岸を巻く。

タカネビランジ?今日はカメラのレンズは広角であり、接写などが出来ず…。
この先、イワシャジンとともに幾つもあった。

大きく2段となった滝。5m無い程度が2段。
水線を攻める時間もその気もなく、写真を撮って右から巻く。

この滝の釜は深くないものの、大きなイワナが数匹見えた。

滝に近付く。水流突破はまぁ無理…。小さく右から越えられる。

2m程度のこんな小さな滝でさえ登れない。
滑るは登れないはで嫌気がして、もう水線沿いではなく、完全に最短距離を行く。

この上は素晴らしい幕営適地があるなと思っていたら、案の定焚火跡があった。
銀マットと網があったが、釣師もこんな所まで来るのかしら…。
林道歩きで見た足跡の主か?

せっせと三脚を立てて写真を撮る。
気持ちが良いのだが、時間も気になる。

10mくらいか。左岸からここは簡単に越えられる。

10m滝から10分程度で大滝下へ到着。
落差は50mと言われている。行者滝と名前がある。
大きいがそんなに落差はあるのだろうか。


NDフィルターも持ってきたが、露出だけが変えられないので、いまいちな写真…。
予習ではこの大滝の巻きが核心の一つと情報を得ている。
右岸から大きく巻くが、トラバースのルート取りが特に重要に感じた。
上まで行きすぎると大変なので、まずまずの悪くないルートだっと思う。
ここもアプローチ同様にトラバースが悪かった。
最後は滝上にある支流の沢の右岸を下って沢へ復帰。

落ち口がすぐそこ。

唯一登れたと言っていいかもしれない7m程度の滝。
右から上段に登り、滝下をくぐり滝身のすぐ左をマントルで越えた。
このマントルでは思わず声が出た。疲れた…。
そのままもっと左へ行けば、もっと楽に越えられたかも。

お次は30m滝。さっきの大滝に似ている。

同様に滝壺は砂地で穏やかだ。
さて、これも巻きが少し悪かった。
右岸から巻くが、どこもこの沢の巻きではトラバースが難しい。
ここも悪くないルート取りで滝のすぐ上に出られた。

相変わらずのスラブ滝。
巻くのに一々時間が掛かる。

どいつもこいつも磨かれている、滑りで登れない。巻きに飽きる。

沢にも復帰できるが、そのまま左岸を歩いていく。

二俣らしい所を過ぎると左岸に岩壁が聳える。
30mくらいありそうで、素晴らしい。

この顔、見飽きる…。
滝ラーの私でも、ちょっと。

こいつで失敗。15m程度の滝。
右から支流の沢を利用して巻こうとするが、風化した岩が崩れるし、滑るしで撤退。
こんな所を危険を冒して登って消耗してもと思い、右岸巻きにスイッチ。
倒木を利用して壁に上がり、小さく巻いた。

10mはありそうだ。
そろそろ勘弁してほしいなー。

と、やっと二俣に到着。
稜線が遠く、暑そうだ。雨の心配は今の所なさそうなのが幸い。
ここは泊まり場に良い所だ。
右に入り、離山直下を目指す。
一度伏流したりしながら特別危険なく詰める。
一応水を多めに汲んでおいた。

詰めたコルからは、甲斐駒ヶ岳が見えて感激する。
小尾根をトラバース気味に越え、直下へ。

さて、離山の地図上のピークがすぐだ。
左は危険な様子なので、右寄りを進む。
ここで一度登れなくなり、更に右へ進んでから登った。

頂上が目視できる。それにしても、風化した白い花崗岩の照り返しでとても暑い。

ざっと見て、目印はこれだけのよう。
今日の疲労具合からして、最高点のピークを踏むのは無理だ。
付近を散策。

岩陰で小休止。水の消費具合が著しいため、再度の補給が必要と判断。

向かう先がまだまだ遠い。
昼寝したい欲求をこらえ、戻って再度水を補給して先へ進む。

この辺にはベニテングタケが幾つも見られた。

尾根の取り付きから、ミツクチ沢の大崩壊地が見える。左に滝があるが、乗り出せない。

甲斐駒ヶ岳の展望がここでも素敵だ。

尾根の上は獣道がたくさんあり歩きやすい。
と思ったのも束の間、矮小なシラビソの密藪に掴まり、やれやれ…。
ここは尾根の左でなく、右を行った方が総じて楽なのかも。
足の疲労が強く、中々前に進まない。

それでも何とか、離山で見た露岩が同じくらいの標高になってきた。

植生が変わってきて、振り返れば、離山が眼下に。
風が出てきて、暑さによる消耗は少なくなった。

悪くないルート取りをしていると思ったが、それでもハイマツやシャクナゲに捕まった。

足の疲れを騙し騙し、展望を糧に進むと、オベリスクが近くなっている。

2700m台地にある、格好いいオブジェのような花崗岩が素敵だった。
この先楽勝かと思いきや、ハイマツの下が花崗岩の溝になっている所があり、余り油断できない。
ハイマツは漕ぐより渡る方が多い。
オベリスク手間の小ピークでは、カモシカの踏跡が濃かった。

左手に何かあるなと思ったら、人工物。
地蔵と句が彫られた遭難碑?があった。

オベリスクをこちらから見るのは初めて。
オベリスクの東側のステップも切られており、危険が無くなったことにホッとする。

富士山と観音岳。夏場で天気がこれだけいい日に当たったのは幸運だ。
オベリスクは登れる程の力も今日は無く、残置ロープも無くなったので、登るなら念のためカムが必要。

広角で地蔵岳全景。
この時間なので、一人が下山していったのみで、独占だった。

小休止後、下山開始。
予定より、時間がかなり押しているが、疲労のみで膝痛や靴擦れなどがないので、終わった気分だ。
この道は初めてだが、百名山の一般登山道なので、心配は無いだろう。

鳳凰小屋を一目散に通過。
ヘルメットに見慣れぬ靴、三脚に傘が刺さったズタボロザックの私。
時間も相まって、異様な人間に映ったと思う。

人もそこそこいたので、しばらく進んだ先で休憩。
R君より施しを受けたのがきっかけで山に持ってきた、ゆかりご飯。
これに食料を切り替えてから、段違いに体の動きが違った。
もっと早くにやっていたら良かったか。

アルプス展望所とある場所では、展望よりも古い標識に惹かれた。
韮崎署ですからね。

日が暮れてきてきたが、時々見える景色が良い。

今回の目的の一つであった、燕頭山。
ベンチでひっくり返って休憩。ヘッドランプも使えるように用意しておく。

三角点は状態が良い。すぐに見つかった。
あとは用済みの下山。

夜景を撮り、楽しみつつ。
七合目とあった目印は旭岳か燕頭山が終点なのか。
ライトに誘われて顔にまとわりつく羽虫を気にしながらの下山。
標高を下げるに従い、気温が上がりやれやれ。
今日は水の消費量は6Lくらいか。この高温の日にふんだんに水を使えたのは良かった。

分岐に到着。ここまで簡易林道らしき道があるので、これで下山。
梯子ゲートまでの10分程の距離で、カモシカが直近に2頭いた。
目が光って、クマではないと思いつつも、はっきりするまでは不安なものだった。
そして、無事に終了。

今回、今の自分としては、かなり出し切った感があった。
下山であれば、あと3時間は長くなってもいけそうだが、登りでの脚力不足は如何ともし難い。
やはり、ある程度の負荷がないと、駄目。ここまで衰えるものかと痛感した。
それでも、山梨県内では難易度が高い離山を沢経由で日帰りが出来たことは嬉しかった。
次回は、離山の最高点を北側から尾根通しに行きたい。
石空川北沢は、巻きのルートファインディングを鍛えるのに適している。
全くと言っていいほど滝が登れないので、滝見になってしまう。
今回は三脚を持って行って正解。
地蔵岳まで稜線経由としたが、ミツクチ沢経由で上がれば、もっと楽かも。
離山から地蔵岳の藪の状態は思ったより酷くなく、ただただ体力勝負。
森林限界を越えた景色は十分な価値があった。
もう少しトレーニングして、甲斐駒ヶ岳エリアの黄蓮谷や坊主山を狙うことにしたい。

  • コースタイム

駐車地点(5:53発) → 精進ヶ滝林道入口(5:55) → 地蔵大橋(6:20) → 林道終点(6:40) → 尾根下降点(7:05) → 入渓(7:35) → 二股(7:55) → 大滝50m下(9:00) → 滝上(9:35) → 30m大滝下(10:50) → 滝上(11:05) → 岩壁(11:45) → 二股(12:25) → 離山南コル(12:45) → 離山(13:05-13:15) → 尾根取付(13:50) → オブジェ花崗岩(15:40) → 地蔵岳オベリスク下(16:35) → 下降点(16:50) → 鳳凰小屋(17:10) → 燕頭山(18:25) → 旭岳(18:55) → 七合目(19:05) → 簡易林道分岐(19:45) → 梯子ゲート(19:50)→ 駐車地点(19:52着)