YAさんと、笊ヶ岳の廃道になった大武刀尾根へ。
今年はまともに歩いておらず、花見ハイクばかり。長距離のバリエーション藪山ができるのか、いささか不安もありながら・・・。
老平で待ち合わせて、車をデポ。白石へと移動。
去年、大黒山から偃松尾山の尾根を歩いた時と同じアプローチ。
ヘッデンを緩く付けて、保川沿いの林道を歩いて、30分ほどで小沢?出合となっている場所へと降りる。
トラロープがあったザレ斜面から降りて一枚。
沢用に換装しているとヒルを見た。この界隈にもいるのか・・・。
早速、深そうな場所。今日は上半身は全く濡れる気はないので、左岸から巻く。釣り師も入るので、遡行は余り心配していないが、どうだろう。
石積があったり、林業用か治山用に使われたと思われる礎を見た。保川左岸には昔は道があったのは知っている。実際、この辺はまだ生きているので、それを辿る。
だが、そこは沢沿いの道の宿命。崩壊している。ここは、残置ロープを利用して降りた。振り返ると、かなり立派な道があったのだろうと推測できる。
沢はこんな感じの場所が殆ど。歩きの沢だと思っているが、この後どうか。
20分ほど沢を歩いて左岸を見ると、上空にケーブルが張られていた!これで木材運搬していたのでしょうか。廃道ならではの遺構が見られるのが楽しみだ。
ホトトギスがちらほらといた。嬉しい。今回、ほぼ花は興味のあるものはないだろうと思うが。
イワギボウシは終盤なのがいた。そういえば、イワタバコも結構いた。
沢の小滝を眺めながら、時折左岸の石積も見る。
よく積んだなという場所も。
滝があるような深い場所は、殆ど道が使える。
5mくらいの滝。右壁登ったら楽しいかも。
右岸の崩壊地。地図通り。しかし凄い高さだ・・・。
柱状節理になっているような場所。滝は1m程度だが深い。
4~5mくらいの滝。これも深い。
水路。左を歩いていくが、最後がぬめりまくっている。ドボンは勘弁なので、水流を跨いで右壁から上がった。
続いて10m近い滝。この隣に小沢が滝となって落ちている。
巻きは、左岸の道が利用できて楽々通過。そのまま進めれば良かったが、緩めのザレた崩壊したような道になってしまった。落ちると重傷以上になるので、安全のため、沢に一度降りて手堅く行く。
2条の滝。中々の見応え。落差8mくらいか。
登るという選択肢は今日は無い・・・。奮闘しないと登れない様子。
次いで5m程度の滝。落差は無いが、威圧感はある。
右岸から小さい支流が滝となって落ちるのを見送る。
ここの景色は素敵。ゴルジュ内、右から滝。
振り返る。増水が無ければ、通過は容易。
10分もしないうちに、顕著な滝。
滑滝だが、水量・水圧十分。滝前は、水飛沫で寒い。水量が多い時は、滝の5mほど右も流れるようで浸食の跡が見て取れた。
正面には岩があり、超広角でないと収まらない。
今回、保沢の中でも先の2条の滝とこれは見応えがあった。
最も石積が大規模な場所。ここは圧巻。写真右、岩を穿って道を通したようだ。
まだまだ現役。こんなに残っていたとは驚き。
ここは滝の左が登れるのは間違いないが、胸近くまで浸かりそうなので、踏跡がある左から巻きを試みるが、ルンゼ横断が苔で滑りやすく危険。ここも安全取って、結局は腰上を濡らして滝の左を上がった。ここから50mほど先で、ザックなどが放置されていた。遺留品ではあるまいなと思って見るが、サンダルなど不要なものが入れられているだけだった。
右岸高くから落ちる滝。何mあるのだろう・・・。
この辺、テンニンソウが群落をなしている。
巨岩が多い。間を縫うか、大き目に巻くか、毎回微妙な判断を強いられる。
ちょっとした二股。
手前の二俣。ここからもう穏やか。ただの河原歩き。ここから10分、出発から6時間近くを掛け、やっとこさ大武刀尾根の取付きへ到着。雨が少し落ちてきて気分が沈むが・・・。昭和の時代には、伐採小屋があったそうだが、探索する猶予は無い。靴を履き替え、尾根に取付く。沢区間はまだしも、ここからはYAさんの得意領域で、登りだけで足が終わらないか、やや不安。
ヤマブドウのような蔦が下部は混じり、おまけに急でやれやれ。ヒキガエルと5㎝ほどの小さいカエルが何匹も飛び跳ねる。
300m以上高度を上げると尾根らしくなり、歩きやすくなる。踏跡も明瞭。天気も思ったほど悪くない。
帰りのランカン尾根が見えた。まだこの高度か・・・。
いよいよ針葉樹林に突入。好みの樹林に浸る。YAさんにも好みを見透かされていた。
あちらは、去年歩いた大黒山の尾根か。あれも長かったな・・・。しかし、あの中腹にも道が存在していたとはにわかに信じがたい。
1940m付近、この標識を発見!廃道好きとしては、ぜひとも見たかった。一体いつに設置されたのだろうか。トタンや酒瓶が転がっている。ここは、富士見平というのか?下のどこかにもエンコウ平という場所に小屋があったそうだが。古地図を見てみたいものだ。
やはり、小屋があったのでしょうか。平らに近い場所だ。
2080m程度で、再び標識を発見。埋もれていたのを再度立てておいた。
2230m付近、伐採の残骸が残る。ケーブルなど。植生もカンバが多くなってきた。
藪というほどではないのだが、シラビソの枝に付いた水分が多くて濡れる。
とても歩きやすい!シラビソの蜜藪を想像していたが、拍子抜け。助かる。
ガスの中に出たり入ったり。最後の主稜線直下は、こんな場所を登り上げた。ここだけ藪だが、もうあと50mも登れば縦走路に出られる。
2444m高点、縦走路に到着。3時間ほどで大武刀尾根は終わった。取付きが1150m程度だったので、順調だった。全く危険が無い尾根だし、藪はほぼ無いと言って良い。
風がそこそこあってやや寒さは感じるが、水消費が節約できて有難いと思う。サクサクと笊ヶ岳へと向かう。
そういえば、椹島下降点が2ヶ所あったように思うが・・・。
振り返る。ガスで見えないかと思っていたので嬉しい。
そして笊ヶ岳へ。
大井川越しの山々は上部が雲隠れだが、これだけ見られれば良しとしよう。
その南面は悪くは無い。
少し留まっていると、小笊の向こうの富士山も見えた。それにしても、手前の天子山塊の雲は真夏のような印象。
YAさんも満足されたようで、御一緒できて良かった。
さて、あとは長いランカン尾根の下山。途中まで去年歩いてそこまで歩きにくくは無いのは分かっている。
小笊を通過。もう何とも思わぬ・・・。帰りで大武刀尾根が見られればいいな。
好きな樹林帯だ。やはり良い。
日が今更出てきて、気温が上がるのは勘弁・・・。水消費が気になる。靴のソールの状態は既に終わっているので、何度か滑り転びながら下る。アップダウンもあるので、高度が落ちない。
崩壊地からの南の展望を今回も。レンズに水が入ったらしく、ぼやけてしまっている・・・。まだまだ歩いていない場所だらけだ・・・。これが一眼レフでの最後の撮影。
2125m高点の少し先、大武刀尾根の末端に向かって落ちている尾根の手前で古い標識を見たが、その尾根にも道があったのか?山仕事に使われていた道は至るところにあって、これもその一つなのだろう。
青閊(三等三角点)は、「ひそだいら」と読むそうで、YAさんから教えていただいた。点の記を見るが経緯は読み取れない。時刻は17:45。この辺から、ヘッデン利用が始まる。
老平分岐付近からルートファインディングが難しくなる。ザレた斜面で、ズルズルして足に堪える・・・。踏跡はあるのだろうが、暗さでよく分からない。1125m高点付近、GPSの感度が悪く、尾根が広くルートを外したようでアセビなどの藪と倒木にしっかり捕まってしまった・・・。水残量が無く、暑さもあってヘロヘロ。この200m程度を落とすのが、本行程の核心と私には思えた。650m付近で見た登山案内に、ランカン尾根は倒木などで危険と書かれていたが、そんなものより、下部の方がずっと嫌だよ!!
もう少しで林道かと思っていたら、ふとバンガローが右にあって子供が中で楽しそうに騒いでいた。お祭りでもやっているのかと思ったが、ここはキャンプ場だった。炊事場を見ると、喉から手が出るほど水が欲しい!と思ったが、ぐっと堪えた。ぼちぼちと歩いて、駐車場へ・・・。
何とかなりました。予定ではあと1時間くらい早く下山できる予定だったが、私のポンコツ具合で遅くなってしまった。それでも、今年歩いていない割にはこなすことができて良かった。
大武刀尾根自体は、危険がなく、非常に歩きやすい尾根。取付きまでが難ありだが。
保川は、昔の道が無くなりつつあるので、行くならば早めの方が良いのは間違いない。沢登りでの遡行価値としては大きくはないが、そこそこ滝もあって予想より良かった!
廃道の尾根が辿れて、その遺構も見られて、とても嬉しい。パッと思いつきの構想に乗っていただいたYAさんに感謝!クライミングも始められて、今後も躍進されるのが楽しみ♪
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