前回の笊ヶ岳の周回で、まずまず歩けることは分かったので、泊まりで藪山マイナーピークを倒すことにした。
行先は、長野の南アルプス。
除山から大日影山までは稜線が繋がっているが、藪や岩、崩壊地などで手強いルート。
そして、下山は合理的に、小渋川を下るルートで無理なく回ることにした。こちらの下山も林道が数年前に壊滅的な打撃を受けてからどんなものか興味があった。
折角このエリアに登るので、高山と井戸沢ノ頭をピークハントするのも計画に入れて内容を充実させた。
前夜初で出発するが、到着は1時半・・・。前回はゼロ睡眠でたまらなく眠かったので、今日は絶対に少しでも寝て行こうと思ったが・・・。結局、体は休息を欲しており、グダグダして、出発は5時過ぎとなってしまった。
若干、空が白み始めてきたが、まだまだヘッデンが必要な暗さ。
除山の西尾根の取り付きはスギかヒノキの植林で急勾配。僅かであるが、下にはミヤマウズラがあったり、イチヤクソウがあったりして驚いた。
シカに根こそぎ食べられてしまうかと思ったが。
そこを抜けると、尾根がはっきりして、カラマツの植林となる。
とても歩きやすい。しかし、シカが警戒して鳴き声がうるさい。釜沢の集落にいる猟犬らしい鳴き声も混じる。さっさと登れと追い立てられているような気分。
クマの糞は新旧複数見かけるようになった。
それに目をつぶれば、危険皆無の里山然。調子良く登って、三角点峰へ。
四等三角点、点名『松の田』。同じくカラマツ植林が続く。
その後、尾根の右にはアカマツも出てきた。
既にここまでで高度を800mほど上げているが、体の調子はいいようだ。
徐々に亜高山帯の植生へと変わる。
この尾根唯一の境界の杭。どこかから持ってきて転がしてあるのか。
勾配がきついところはあるが、全く問題ない。目印はあるが、それほど分かりやすいとは思わない。
楽に行けそうかと思ったが、岩が立ちはだかる。
4m程度なので、岩をちょっと登り上の木に手がかかれば十分正面突破が可能だが、木ごと崩れるのも怖い。休憩もしながら、ザックを下ろし左をトラバースして上を見る。岩基部から5mほどトラバース後、根を掴んで右上できる確証を得る。
下りではかなり緊張を強いられるが、登りでは気楽なのものだ。
登っていくと、稜線右には、前茶臼岳でしょうか。そろそろメインの山々が見えそうな雰囲気が出てくる。
その後、岩場が幾つか。苔で周囲に同化した古いロープも見る。
乗越しが重荷だとやれやれだが、危険というほどではなく、余裕をもって超えていく。
少々面倒だった岩を乗り越えると、そこにはセリバシオガマがたくさん。
残念ながら、花の時期は終わっており、しおれた花から想像するのみ。
岩場には幾つかの花があって嬉しかった。
ダイモンジソウは、かなり日当たりが良さそうなのに元気だった。
エゾノコギリソウ?
木を頼りに登ってきた場所を見下ろすが、ちっともよく分からない写真。
この後は非常に平和で、樹林帯の美しさに癒される。
倒木は見えるものの、ストレスは全くなく歩ける。
200mちょっと高度を上げて・・・。
除山に到着!
三等三角点、点名『鎌沢山』。鎌沢がどこからきているのか。
苔生した周りの石の様子から察するに、三角点は苔が取られたに違いない。
三角点は2041.2mであるが、南東に最高点があり、標高2050m。除山を文句無く踏んだことになるだろう。
その後は倒木は少々あるものの、歩行には左程支障無し。
面倒に感じると、休憩の口実に写真を撮りたくなる。
2128m峰までとても平和。
2128m。標石があるが、恩賜林でしょうか。
除山と小日影山をセットで最も楽に踏むには、この南尾根が良いので、目印の頻度はこの先少し多くなったように感じた。
2128m峰からすぐ下にケーブル。
木が薄い箇所があり、右手の景色が気になってくる。
余り詳しくない山域。木樽山~前茶臼山が見えているのだろう。
紅葉は上部期待できるかも。
振り返れば、中央アルプスが一望。
樹林帯の中に入っても、またいいものだ。
岸壁には紅葉。だが、日が当たらずに見栄えがいまいち。
歩く近くには余り出てこない。
写真右には鳥倉山など見えている模様。
遠く、北アルプスも、かなりはっきりと見えた。
イワカガミがいた!3年ほど前にも、秋に咲いているのを見たことがあった。
うーん・・・。藪・・・。
だけれども、だいぶ優しい。大して歩くのが早いわけではないが、それほどストレスには感じない。
セリバシオガマが本当にたくさん。結実した状態?
確か、御嶽山に登った時にもこんな光景を見た。
気持ちの良い尾根!こんな所も結構あった。
目印はあるが、余りあてにならないのは変わらぬ感想。
矮小な木はそこそこあるが、縫うように行ける。
樹林は本当に好みだ。シャクナゲが出しゃばらないことを祈る・・・。
紅葉も徐々に出てきた。目を奪われる色彩。
特別、危険や進みにくいところはなく、順調。
小日影山の手前は、多少斜めにはなるが、十分にテントが張れる場所。
そして、小日影山に到着。
亜高山の藪山の雰囲気のまま。展望は当然のことながら無い。
三等三角点、点名そのまま『小日影山』。
頂上には、手製標識とテープが少しだけ。
さて、歩きやすそうな北向きの尾根でなく、進行方向に目をやると中々面倒そうな藪。
これは、すり抜けるのは無理で、横に伸びた枝をどうにか処理しながら進むしかない。
稜線の僅かに下を歩くことで結構な差が生まれる。獣も藪漕ぎは好まないのか、そこに踏跡がついていることが多い。
藪から突破すると、鮮やかな紅葉! 青空と紅葉、それに針葉樹の常緑が美しい。
この景色は、低山では中々お目にかかれない。
大日影山までは、写真左から幾つかの小ピークをこなしていかねばならない。
マツも黄色を帯びていて、見た目は素敵な尾根だ。
藪につかまりながら、ぼちぼち進んでいく・・・。
嫌になるが、紅葉が励ましてくれる!
藪に定期的に引っかかり、中々捗らない。泊まり装備でのザックが、やはり一番のネックとなっている。
この尾根、歩き甲斐ありますね!
尾根の左手の景色。三伏峠、主稜線までだいぶ見えるようになった。
後ろの山は塩見岳・・・?
振り返る。意外に尾根が蛇行しており、直線距離に対して進んでいない。
岩場が出てくる。崩壊地も右にあり、上を通過するが、これは危険を感じない。
岩場は藪を掴んだり、そのまま登ったりできるので、簡単。
真っ赤な地面があって何かと思った。この規模は見事。
また振り返る。岩が露出しており、紅葉とセットで見られて良い景色!
まだ2つは小ピークを越えねば・・・。
相変わらず、藪に歓迎されながらゆっくりと進む。
シラビソ、マツより、ここはシャクナゲが絡むと大変と感じる。だいぶ大人しくなったけど・・・。
登山道みたいに歩きやすい場所があった。上の写真の右ピークは少し巻くように道があって、ここがそこ。
このまま歩きやすいかと思ったが、そうは続かない。
3000mクラスが見えてきた!
大日影山はもう見えているが、高度をかなり落とすよう。最後まで楽はさせてくれなさそうだ。
下り途中で、見事なナナカマドの紅葉。
茶色で見ごたえがないものも多いので、とても目立つ。
右に下って、崩壊の際を鞍部に向かって進んだ。
途中の踏跡で、壊れたストックがあった。この藪では、やられても不思議じゃない。
いつの間にか、私も、この辺までで熊鈴とカメラのレンズフードを奪い取られてしまった・・・。やれやれ。
崩壊地の上では、花が幾つかの花が見られた。
リンドウ。亜高山帯にもあるのか。花が大きく見ごたえある。
終盤だが、マツムシソウも見られて嬉しい。
イワインチン。
目印はあるが、参考には余りならない。適当に自分でよさそうな場所を選んで登る。
岩に付いた灌木は浮いていたり、霜で地面が濡れていたり、注意は必要。
靴裏が濡れて泥が付くと、岩や外傾の草付きにひやひやした。
最後まで藪もあって、何とか大日影山に到着!
最高点がどこなのか分からないので、東西で高そうな場所は踏んでおいた。
嬉しいことに、KUMO標識を見つけられた!
武内さんという方で、地図読み技術をはじめ驚異的な能力を持つ重鎮の山頂標識。
出遅れたことで15時を目標にしていたが、概ね予想通りだ。
本当は3時過ぎには出て、初日に高山も往復してしまおうとの目論見だったが、まぁまぁ自分ではこんなものかと思う。
北寄りに目印がついており、それを辿って登山道に出た。
毎度、登山道の歩きやすさたるや、天国のようだ♪
板屋岳に向かって南下していく。
とはいえ、ここから登り。
展望はすこぶる良い。
背後の展望も良し!そちらもいずれ・・・。
ここは携帯の電波が届くので、状況報告などで少々停滞。
留まっていると寒くなってしまう。ほぼ半袖なので当然か。
左に回り込むようにしながら進んで、板屋岳へ。
標柱は登山道沿いにあるが、最高点は右にあり、藪漕ぎ。
何だか分からない写真だが、ここが最高点。特に何も無かった。
勾配は緩いし歩きやすいが、被写体や展望やらで足が止まりがち。
美しい!思ったように撮るのは難しい。
荒川岳は見事だ。明日、悪沢岳まで行くのは、ちょっと厳しいか。
しかし、改めて悪沢岳というのは独立した山のように感じる。
立ち枯れ。稜線はちょいちょい崩壊している箇所がある。そのため展望には困らない。
登山道沿いの草も枯れる手前だったり、既に枯れていたりする。これに夕日が当たって綺麗。
歩いてきた小日影山の稜線も良く見えるようになってきた。
これを見てしまったら行かねばなるまい!と思う魅惑的なビジュアルの稜線。
他から見る方が険しい。見えているザレの際も歩いたり、激下りや登りも通過したりしてきているはず。
樹林帯を斜陽の木漏れ日を浴びて進む。
足が何度も止まる♪
樹林帯も美しく気持ちよく歩ける。藪も当然無いので快適そのもの。
日陰には、霜が降りたようで、溶けずに残っていた。
そういえば、大日影山までの日影にはつららがあったな。夜は結構冷えそうだ。
振り返る。もう展望が無くなってしまうかもしれないので、後ろ髪を引かれる思いで、ゆっくり。
夕日や焼けは余り期待できそうになかったので、高山裏避難小屋に日没前に向かった。
一人男性がいらした。会釈するのみで、テント場を物色する。
久しぶりのテント利用だが、手早く設営を済ませる。
他には誰もおらず、選びたい放題で、最も良さそうな場所へ。
水はたっぷり汲んできたつもりだが、考え無しに消費してしまうと足りなくなるかもしれない。かといって、汲みに行くのも億劫であり、このまま留まる。
出発があと2時間早ければ、高山を往復したところだが、明日にしておこう。
テントで外もちらちら見ながらゆっくりしていると・・・。
意外に空が焼けていた!
場所は余り良くないが、ダメだと思っていたのでちょっと嬉しい。
早速、ウイスキーのお湯割りで一杯♪
肴は少なめだが十分だ。食事を何ともなしに食べ、地図を見ていたら、いつの間にか20時を過ぎてしまっており、そそくさと就寝。
寒さは感じたが、概ね快適に休めた。
2日目へ・・・。