家業も切羽詰まった感が無くなったので、ここぞとばかりに遊ぶ。
去年から比較的精力的に行った湯檜曾川。
支流で感触を確かめたので、今回は名渓と名高い本谷へ。
ゆっくりであれば、幕営と登攀具の重荷でも行けるだろうと踏んだ。
道中、好天を期待していたが、水上インターを降りてしばらくすると、道路が濡れてくる。駐車場に着く手前で、とうとう雨になってしまった。
霧雨程度であり、行ける所までひとまず行ってみようと思い、合羽を上だけ着て出発する。
他には3台しか車が無かった。でしょうね・・・、という印象。
まず、驚いた最初の点は、西黒沢橋は完全に岩で埋まっていたこと。
そして、道中の沢もじゃんじゃん流れている。
湯檜曾川に近づく場所では増水がありありと分かる。
全く見えないと思っていた景色が見えて嬉しい。
沢は濡れないで渡るのは不可能な状態。
入渓の武能沢の下降も結構な増水具合。
白樺沢を遡行した時は、魚留滝の付近は全く困難さは感じなかったので、行ってみる。
・・・、まぁ、違いは全身で感じられた。
魚留滝の手前で行けるかどうか、空身で覗いてみたが、荒れ狂う様子や瀑風にとても登れる状態ではないことが分かった。
藪漕ぎで巻いて、すぐ上のゴルジュを偵察する。
これは果たして遡行していっていいんでしょうか・・・?
白泡が立って激流と化している光景に圧倒された。
上流に行けば自ずと水量は減るのは間違いないので、十字峡までを目途に向かうことにした。
途中の小さな支流もこの通りだ。
水が少し濁って迫力がある。
渡渉を嫌って右岸から進んだが、どうしてもしなければならないポイントはあるもので。教科書で見るだけで知識としてあったストックの使い方が役に立った。
心なしか雨足が強くなったような気さえする。支流の小さな沢が滝になっているのを見る度に不安が増す。
ウナギの寝床。天気が良ければ泳いでみてもいいなと思って、ウェットスーツを持ってきたが、とてもそんな気にならない。
水流も先が絶望的に強そうで、5mも泳げばもう十分だと思う。さっさと左岸を歩く。
恐々と覗く。これは、私には無理だね。
下りられそうな所で何とか雨の流れるルンゼを下ってへつっていく。
圧巻の、抱返り沢!!沢全部が滝のようだ。
この手前も深くて寒くなってしまった。
十字峡は期待以上だった。右からも凄い勢いで大倉沢の滝が落ちてくる。
水流跨いで進むのも叩き落されそうで躊躇する様子だった。
その先、アナゴの寝床。
何とか行けそうな様子なので、進むことにした。それに遠くには明るい日が当たっている所も見えるし、好転しそうな予感もした。
時折吹く風のせいや、瀑風などで十字峡までに来るのにも寒くなってしまって、ここでウェットスーツを着る。
想定外の使い方だったが、持ってきて良かった。
カメラを出したりしまったり、レンズの水滴を拭いたりで、全く捗らない。
上の写真、8m滝の手前のあと5mがどうしても届かなかった。
泳いでトライすること2回。ぬめりはそれほど無いのだが、岩が濡れて手が滑る、水流で逆層っぽいこともあって浮いて流されないようにするだけで精一杯。這い上がれなかった。
右岸は大きく灌木帯まで上がれば巻けるのだが、面倒過ぎるので、左壁に一ヶ所ラインが見えて、そこを上がる。ちょっと悪かったが、草付に上がれた。
その先、大物が控えていた。
これが抱返り大滝。2段20mとのことだが、その迫力は数字以上のものだった。
日が沢にまで差すことがあって良かったが、すぐ陰ったりして望み薄だ。
下段は左をほぼシャワークライムで登り、上段は巻いた。
上段、残置ピトンもあり直登も出来そうだが、ここでは力を温存して巻く。
上はだいぶぬめっていたので、怖い思いをしたと思う。
滝上から見ても、まだまだ水流は多いようだ。
この先、少し一息つけるセクション。
5m未満の小滝と釜で癒し系だ。岩肌が緑を帯びていて綺麗な場所もあった。
日が少し差す。水量も少し減っている?
このまま晴れていてほしい。
上の写真の右からの支流滝。
この写真だけ見ると快晴なのだけれど、雨が落ちたり日が差したり曇ったり。
この滝は左のチムニーから楽々小さめに巻くように登る。
その先、二俣になっており、右が本流だが、左に七ツ小屋沢の方が本流っぽさが強い。
20m滝があるようなので、見に行ったら素晴らしい光景だった。
普段の様子はどんな感じなのでしょうか。
幾つか10m未満の滝が続く。
上の写真の滝は、左岸を巻いたことは覚えている。
また陰って寒い。
左から支流が20mくらいの落差で落ちる。
この2段12m滝は、下段は空身で左から越えて、上段を偵察。
上段は右が行けそうだが、重荷では苦労しそうなこと、取り付きまでにもどっぷりな様子だったので、左岸巻き。
岩質が特徴的。
晴れて平静時なら突破も楽しそうなのだけれど・・・。
小さめの滝を幾つか。この小さいのも左からへつるが油断できない。
奥のが大滝だった。
これが初日のハイライト、大滝40m。
上部のひょんぐりが威嚇しているかのようだ。
かなり大きく左岸を巻けないことはなさそうだが・・・。
しっかりオブザベして、下段は完全にシャワークライムで絶叫しながら左壁に上がる。
休めるのだが、瀑風で寒くて仕方がない。
その先ワンポイント上がる所がちょっと怖くて悪い。残置ピトンもあって、ここは保険掛けたいのも分かる。落ちたら10m以上サヨナラだ。
ハイステップを強引に決めて上がると、その先は水が流れていた。たわしでスタンスになりそうな場所を片っ端から磨いて進んだ。
ここがこんなに悪いなんて聞いていないよ!って思った。たわしが無かったら、もっともっと怖かったと思う。
上段は右からでないと直登できなさそうな様子。
そのまま草付の踏跡で滝上へ。
滝下を覗く。突破できて本当に良かった。
もう怖い所はないはずで、一安心する。
ちょこっと紅葉があったのが、ご褒美をもらえたようで嬉しい。
明らかに水量は減ったので、二俣までは最低頑張る。
右から越えたのかな?
滑が出て癒しの雰囲気もあった。
小さめなので、左を安心して登れた。
そして、何とか二俣着!!
右岸の幕営ポイント。この手前にも左岸に小さめの場所があった。
焚火台は整っているのだが、何せびしょびしょで出来る要素がない。
まだ先へも進めるが、ここで今日は行動終了することにした。
テントを早速張って着替えてほっとする。
そして、暖かいコーヒーが飲める幸せ。敗退せずに、ここまで辿り着けた幸運を噛みしめる。
夜は一時月明かりが眩しく目が覚めた。明日は晴れるといいなぁ・・・。
- コースタイム
白毛門駐車場(6:30) → 巡視小屋(7:30) → 本谷入渓(8:15) → 十字峡(11:00) → 抱返り滝(12:35) → 七ツ小屋沢(13:45) → 2段赤茶滝(14:30) → 二俣(17:30)