南アルプス前衛、早川左岸の山々の稜線には、南アルプスフロントトレイルと名が付いている。
山梨県で未踏で移動距離が少なく取付けると思い、遅い出発ながらも向かう。
桃ノ木温泉は、何年も前、正月に高谷山から下山で利用した道を選択。
だが、付近は駐車は控えるようにと注意書きが複数あり、駐車禁止標識の区間で、取付をどうするか悩む。結局、駐車禁止標識が付近に無く、十分な広さのある場所に駐車して出発した。
ここからであれば、高谷山の東尾根の最も緩い傾斜で取付ける。
出だしは脆い地面だが、すぐに尾根に乗るので問題なし。
稜線上、すぐに人の割と入った様子が窺えた。境界見出標もあり。
新緑が眩しい。
日当たりの良い尾根。歩きやすい。
花が傷んでしまって、名前が分からない。
下を見ながら登っていくが、面白い花が全然発見できない。
桃ノ木温泉からの尾根を合わせるが、道の状態は変わらず。
目印を追っていたが、トラバースするようなルート取りだったり、不明瞭な感じもしたので、適当に登る。
このロープ、見たような気がする。
この辺は、特に急で足元が崩れやすく落ち葉も堆積しており、歩き難かった。
傾斜のきつい区間も良いペースで登っていたが、緩くなった場所で引っかかる。
早いなと思っていたが、イワカガミが咲いていた♪
気持のいい尾根。植林が右は主体だが。
更に上の日陰には、もっとたくさん咲いていた。
これは予想外に嬉しい!
花は、白味がとても強い。ヒメイワカガミなのかしら。
日が当たればと思うが、待っていられない。
整備されていた時期があったんですね。
こんなの記憶に全然無い。
左の道は、梯子が架かっているが、道の状態は悪く見えた。
尾根をそのまま登っていく。
この整備、初回訪問時には既にされていたのか・・・?
高谷山の直下は、カラマツの植林に完全に切り替わる。
フデリンドウを見つけたが、これ以外には今回見られなかった。
そして、目当ての稜線に乗り上げる。
高谷山、着。三等三角点、点名『高谷』。
北岳が覗く。
休憩そこそこに、先へ。南アルプスフロントトレイルの標識に従って。
道は非常に歩きやすい。
チョウジザクラかな。まだ開花していないものも、散ってしまったものも混在。
スミレはどこでも元気に咲いていた。
中池。池は無く、窪地。バイケイソウが跋扈している。
この先も広範囲で幅を利かせていた。
カラマツ植林の中、たまに花を見る。
オオカメノキ。2000m超級の山も春がすっかり来たことを感じさせる。
樺平。これまで尾根の右(西)は白峰三山が見えていたが、ここは特別展望が良い。
絶品。まだ尾根上のマイナーピークがほぼそっくり残っているので、今年は少しずつ片づけていこう。
早川尾根の先、甲斐駒ヶ岳もばっちり見えた。
さて、これだけの展望地があって、どうして昼休憩せずにいられようか!
ザックを開けて驚愕の事実。今回も弁当が入っていない。あるのは、200kcalを僅かに超える程度のチョコレートのみ。これは、ペースに注意しなければ・・・。
殆ど変わらない尾根道。
樺平とは今は昔と思ったが、少し進むとそんな過去の様子も垣間見える。
楽々、団子沢山に到着。三角点はこの標識から僅かに南にある。
三等三角点、点名『八層』。展望無し。通過点という印象。
その先・・・。
崩壊地の際を歩く。
ヤロク沢の源頭のようだ。歩いている間もパラパラとしたり、砂煙が稜線まで上がってきたり。
展望は良い。櫛形山まで結構ありますね・・・。
ルートは、その崩壊の際を下っていくが、手間にロープがあった。
ロープに沿ってトラバースするが、足元が崩れる。これがあるので、そこが歩けると分かるが、普通は尾根をそのまま下るところだ。
その後は特別問題なし。
ふと、目の前を横切り木の上に登る小動物。
野生のリスは久しぶりに見る。頬袋だけでは足りないのか、口からこぼれそう。
尾根上は概ね問題ないが、ザレている所がしばしばあり、ふと下を見ると目印があるといったことも何度か。
トラバースも、落ち葉が堆積していたり、ザレや崩れやすい地面であったり、歩き難いだろうと感じた。
カラマツの新緑に、ツツジが彩を更に添える。
1683m高点からの展望。こちらも素晴らしい。
行きたいと思っていた尾根や沢があることを改めて再認識する。特に、大唐松山。
1683m高点からの下りは、やや尾根が細くなり、切れ落ちている場所があった。
相変わらずの地面の状態。ツツジがあって楽しませてくれる。
ドノコヤ峠まで中間ほどと思われた地点では、特に見事な花付きだった。
先のピークは、高山でしょうか。
往復するつもりで来たが、今日の食料事情ではとても困難。
荒川か赤石岳か・・・。
稜線通しで進んで、ドノコヤ峠へ到着。
特に、西の崩壊が著しい。新しいものだけでなく、古い標識があって、また驚く。
左右のルートを目を凝らすが、とてもあるようには見えない。
20年程度前には、高谷山からドノコヤ峠の間に、強烈なスズタケがあったと聞いているが、ここは当時からこんな様子だったよう。
鉱山跡も訪問したいので、高山と絡めてまた来ることがあるだろう。
さて、尾根上をほぼ忠実に辿っていくが、相変わらずの地面。
そして、岩場で行き詰まる。登ったはいいもの、下れない。
慎重に戻り、巻くために西を下ってみる。
足場を崩しながら大胆に・・・。この辺で、下にロープが見えて、ルートを発見。
この地面では、余程人が入らないと定着しなさそうだ。
ロープは延々とトラバースして続く。
そのままロープに導かれて、再度尾根に復帰。
なおもロープがあるが、ここは特に問題なし。
1737m高点北東の肩に向かって登る。
高山への分岐となる場所には標識があった。
歩きやすそうなのは、高山への稜線であり、直線距離にしても2㎞ほどであるが、今日の状況では諦めるしかない。
御勅川源頭の稜線を唐松峠へと下る。
この一帯も崩壊が進んでいるため、所々展望が良く、鳳凰山を中心に良く見える。
下り切って、唐松峠。
南面の穏やかさが、北面の崩壊具合の印象を強くする。
下流の多くの堰堤が物語る。
山の神。西を背にして東を向いている。
カラマツが多かったのでしょう。櫛形山にも立派なカラマツがあったので、昔はここもそんな様子だったのだろう。
目印はたまに南側下にあるが、ほぼ稜線上か、すぐ横を通過。
暫くすると、カラマツの植林となり、各段に歩きやすい。しかしながら、手持ちのチョコレートも10枚中7枚を食べてしまい、登りでは全く力が出ない。
そんな中、癒しを与えてくれたのは・・・。
コミヤマカタバミ。特に珍しいわけではないが、ピンク色が強くこの枯れ模様主体の景色の中では目立つ。
振り返る。鈍足になってしまったが、着実に登っている。
倒木や伐木も少なく、快適に歩ける。
ドノコヤ峠から唐松峠までと比較すると、一級の道とも言えるほど。
保安林の標識もこれを含めて2つ見た。
アセビがたまにある。花を見ると嬉しいもので・・・。
踏跡は薄いものの、この状態であれば、全く問題なし。
サクラは、夕日に近づきつつある日差しで輝く。
1971m高点は少し巻いており、省エネには非常に助かる。
バイケイソウが窪地を中心に多い。
地図にある破線路に到着。
櫛形山へ予定通りに進むか、このままアヤメ平に向かうか、逡巡。
植物保護の様子も見たくて、櫛形山経由とすることにした。
確か、この池ノ茶屋林道は通行止。案の上、静かで人気がない。
立派な駐車場と小屋を見て、植生保護の柵を開けて登りにかかる。
エンレイソウを入って早々見られた!
コミヤマカタバミは、もう珍しくなく、他にも探すが目ぼしいものはない。
時期を変えて再訪する必要がありそうだ。
この程度の登りにも苦しめられている最中、下ってくる人と遭遇。今回、この方以外とは遭遇せず。
バイケイソウ畑・・・。
ベンチに座って富士山を見ながら休む。ああ、辛い。
再度、柵を開けて、登っていく。
振り返る・・・。
こんな展望場所があったのですか。過去の記憶を呼び覚まそうとしたが、分からない。
ここまで来てしまえば、あとは大した登りはないので、少し楽。
こんな景色を見ると励まされる。
大きなダケカンバ。勾配緩く助かる。
三等三角点、点名『奥仙重』を通過。
標識たくさんの公式ピークもさっさと通過。
時々見られるカラマツの巨木が見事。
一応、裸山まで踏むことにする。この道は歩いているはず。
アオバヒョウタンボクの保護株やカラマツの大木を見ながら・・・。
裸山の直下、植生保護の柵。いばらの植物がバッサリ処理されていた。どんな植物があるのか。
周回できるように道があり、時計回りで山頂へ立つ。
三等三角点、点名『池砂』。
稜線越しに富士山が見えるが、それより西側の展望。
もう逆光となってしまったが楽しめる。
日没と芦安までの道、加えてエネルギー切れが不安なため、長居は無用。
サルオガセがどのカラマツにも絡みついている。
この様子は以前から印象に残っている。
アヤメ平。トレッキングコースと標識にあり、その道は現役に感じられた。
小屋はあるが、人気は感じなかった。
柵を何度も開閉するのが煩わしかったが、この先でやっと解放される。
勾配無く、道の状態は良好なのにもかかわらず、スピードが乗らないのが悲しい。
唐松山手前で標識があった。芦安への道は、踏跡あるのか・・・?という印象。
ひとまず、ピークを踏む。
唐松岳。三等三角点、点名『唐松』。展望無し。
ヘッデン下山は覚悟して、芦安方面への尾根を下る。
幸い、すぐにルートを示す赤いペイントや新しめのテープを見つける。
鞍部先のこぶも巻き道が分かりやすい。ここは、トタンが散らかっていた。
北への尾根をどんどん下る。
歩きやすいので、今日はとても有難い。
1595m高点手前で、林道を横切る。
渡ってすぐ先に標識が朽ちて横たわる。
目印を追いつつ歩きやすい場所を下る。
基本的に短い間隔で目印があり、目視できる距離にあるが、たまに発見できない。
等高線が詰んでいる辺りは、ザレや落ち葉で歩き難い。登りではなくて良かった。
朽ちた標識が幾つかあったが、以降見ない。
途中でヘッデン利用して慎重に下る。
芦安温泉から南に伸びている破線路付近で、暗さもあって適当に下ったが、どうやらルートに復帰でき、無事に林道に降り立つ。
標識がまだあった。
一般登山者が、この取付見たらきっと躊躇すると思う。
あとは桃ノ木温泉に向かって道路を歩く。
暗闇の中、シカの気配は幾つもあった。植物はというと、キケマンやヒトリシズカ程度を見られたのみ。
橋を渡って、無事に周回完了。
まだ本格的に歩くには心許ない体の調子だったが、無理せずに少しずつ戻していこうと思う。
高谷山・団子沢山・奥仙重・櫛形山・裸山・唐松岳 / Argonさんの唐松岳(山梨県)・高谷山(山梨県)・裸山(山梨県)の活動データ | YAMAP / ヤマップ