石灰岩ゴルジュで名高い、戸台川支流のイワンヤ沢へ。K君と共に。
戸台までは意外と近く、始発バスに乗れる到着時間だったが、長蛇の列。
1時間ほど待って、乗車できた。
戸台大橋で下車。僅か4㎞ほどなので、歩いても良かったかもしれない。
他には誰も下車しなかった。
日がだいぶ高くなっている。
戸台河原駐車場までの道は通行止めで、御覧の通りだ。
フサツジウツギがたくさん咲いていたのを横目に、コンクリート道路を歩く。
駐車場の先が、登山口らしい。仰々しい注意書きだ。
今日は、鋸岳を縦走するより遥かに危険だと思うが・・・。
河原歩きが暑い。地味に歩き難い。
途中で、ボルトが打ってある岩場があった。
木のプレートが設置されている。下部はハング。石灰岩ですね。
イワンヤ沢で早々に敗退したら、ここで遊んでもいいかな?
その後も、たまに現れる岩場を横目に進む。
コシオガマですね。少ないながらも見つけられた。
右岸の小高い場所に廃屋。基礎がだいぶ怪しい。
正面左に岩壁が見えてくる。戸台の岩場はその辺り?
徒歩1時間ほどとあるので、まだ先かな。
この白い岩大きな岩が、イワンヤ沢出合の目印。写真すぐ右で水が合わさる。
ここで、休憩。
対岸を見ていると、高いところの岩にバンドが走っているなと思いきや、そこが南アルプス林道だった。カメラのズームで分かった。恐ろしや。
平凡だが薄暗い沢を登っていく。
10~15mくらいの滝。見るからにぬめりで苦労しそうだが、登れるかも。
右岸にはトラロープが見え、そこから巻く。
よく工作したねという印象。
特に問題なく、沢に復帰。
右に50mほどもあろうかという岩壁が聳える。
左は、崩壊しておりパラパラと・・・。
岩壁の下では、ウメバチソウを発見。
しかし、見事な壁だ。
危険は無いが、ちょっと倒木が面倒な場所も。
洞窟内に落ちる滝。7mくらい?
抉れているので、かなり厳しいと思う。
大人しく、右岸を巻く。
巻いた場所には、ハナイカリがたくさん咲いていた。
歓迎ありがとう。
地図上で幕岩と記載がある場所。岩屑が堆積しており、相当脆いようだ。
絶賛、崩壊中といったところ。
ここで、沢は右へと曲がる。
3mほどの小滝。
これを右から巻いていたら、掴んだ木が折れてバランスを崩して派手に転倒しかける。
油断しないように・・・。
間も無く、二俣。
いよいよだ。ここで、休憩して装備を整える。不要なものは置いていく。
横目には、黄色い花。
ナガミノツルケマンのようだ。秋に咲くキケマンだと、これだろう。
弱々しい印象で、これからゴルジュに突撃するのには、応援が足りない感。
さて、どうなりますやら・・・。
左俣入口の景色。F1、CS滝が立ちはだかる。それにしても、何と側壁の高いことか。
右から登って、中段に上がり、CS左の水流中を探るが、ジャムなど利かないし、袖から水がじゃんじゃん入り寒い。
ひとまず、ロープを使用して、水流中に2つカムを突っ込む。
フリーでは登り方が分からず。右足が全然無いので、アブミも初使用。
恐々と乗って、乗り越そうとしたら、何とカムが外れてしまい、滝下に落ちる!
背中から落ち、右腰辺りを強打。これは、まずい!!と思ったが、骨折したような痛みではなく、打撲の模様。痛いが、動けるので安堵。
気合を入れて、次は突破した。
フリーでは困難で、早くもF1からピリ辛なんですけど・・・。
倒木で支点構築して、K君も上がる。
F2。7mくらいか。
右から偵察がてら登ってみるが、沢靴では私には厳しいと感じて、クライミングシューズに履き替えてトライ。
カムを入れつつ中段に上がるが、振り返ると外れている・・・。
右に残置ハーケンを発見。割と良く効いているようだ。
しかし、その先は、登ってしまうと、クライムダウンは出来なさそうで、躊躇する。
直上してからのトラバースが、ぬめりも強く、非常に悪く見える。
一旦、外れたカムもセットし直して、更にカムを追加しながら降りて休憩し、落ち着いてから再度トライ。
残置ハーケンの上で、何とか一本ハーケンを打ち足して、意を決して抜けられた。
登ってみれば、そこまで悪いわけではないが、やはり緊張するものだ。
滝上には、2本のハーケンがあり、それと倒木で支点をとり、ビレー。
F2上の様子。
結構、時間を掛けてしまった。
向かう先は・・・。
1mくらいの小滝を挟んで、落ちた岩が転がるすぐ先に2~3mくらいのF3、そしてF4が奥に見えている。
F3は、釜が深い。左からトラバース。
たわしを使って、磨く。クライミングシューズなので、快適に通過する。
一応、ここまでは最低来たかったので、合格。
登れないにせよ、F4にトライ出来るので試してみる。
F3の落ち口が、釜で連続してるので、休憩がしにくい。
釜の深さは腰くらい。
左から登るしかないが、離陸からして難しそうな様子。
案の上、体幹を使って大変だったが、意外とすぐに2~3m上のガバへ。
よれて落ちる前に、カムをセット。
その先、かなり厳しいので、降りて休む。
何度もやっていると、負傷した箇所の影響とよれで離陸のボルダームーブができなくなってくる。
K君が足を貸してくれるが、いずれにせよ悪い。
そして、アブミもセット。またまた行き詰まり、カムでテンション。休む。
片っ端から、カムが入れられるところに決める。
キャメロット#4なんて使わないでしょ、と思いきや、ハマる場所が1箇所あった!!
中間~上部になると、カムが入る場所はなく、岩も脆い。
ハーケンが刺さる場所を吟味して打つが、リス広がる。挙句の果てに、あり得ないほど大きな亀裂が入って崩壊寸前。スタンスにしようとしていた岩がこれでは・・・。
という感じで、精神的にやられる。
それでも、3本打った内、1本のナイフブレードが良く効いた感があった。
その僅かに上、キャメロット#0.3を繊細に決める。
ここまででも、かなり時間を要しており、寒い釜でビレーしてくれるK君も限界。
もう行くしかない!!
上部は、岩が更に脆く、持ったホールドが浮くは動くは・・・。
ハングをトラバースし、最終局面。
落ち口がのっぺりしているが、ホールドは甘く、濡れた石灰岩のため、不意落ちを考えると、ムーブを起こす気になれない。
そうこうしていると、足は震えるし、腕もパンプしてくる!
K君の『ガンバ!』に励まされたこと、落ち着けと言い聞かせ、片手ずつレスト。
そして、最もリスクの低いと思われる右手に足のムーブでハイステップを決めて、何とか突破!!
この手に足ムーブ、もう、声も出ないほど集中した・・・。それほど、強烈。
写真を撮ってもらっていた!!感謝!!
K君は、全て装備を回収してくれた。本当、素晴らしい。
上部はフォローでもテンションかかり、やはり相当厳しかったとのこと。
F4落ち口から俯瞰。この圧巻のゴルジュを抜けられたことで、景色もひとしお。
F4すぐ上は、滑の小滝となり、右へと沢は曲がる。
そこで、休憩。
ネジバナと思ったが、どうやらミヤマネジバナ。奮闘を称えてもらう。
自分で初めてアブミを使用したり、考え抜いてハーケン打ったり、未だ慣れないカムのセットなど、お腹一杯。
時間は、当にバスに間に合わない。K君が、折角なんで、右俣下降しましょう!と言ってくれて、尾根を乗越し下降に決定。
クライミングシューズから再度沢靴に変え、出発。
楽勝と思いきや、地味に悪い小滝・・・。
ぬめり強く、フェルトのK君の助けを借りて上がる。
側壁は変わらず高くて少々不安だったが、右手に緩やかな乗越地点を見る。
獣道か沢屋か、踏まれており、道が明瞭。
峠を越えて、僅か1分足らずで右俣に入る。
左手上流には、滝が落ちている。
15mくらいか。そして、この左の壁も高く見事だった。
こちらは、伏流となり、下降していくと水が出始める。
小滝をウォータースライダーで、まずは一発。
その先、ちょっと高そうに見えて、懸垂。
下からだと、3mほどで普通に飛び降りられるよねという印象だが、上から見ると高いと思うものだ。
その先、ゴルジュが強烈となる。
こちらの残置にスリング掛け、懸垂。
K君がどんどんロープを捌いてくれるので、とても助かる。
この先、残置スリングが巻かれた倒木があり、そこで3回目の懸垂。
どの滝も弱点が乏しい。
右俣ゴルジュも全く負けていない。
釜が深くて、一眼レフが水没!!
ぬめっているので滑って転んだのかと思ったが、全く足が着かない・・・。
左岸の岩に残置ボルトがあって、そこで最後の懸垂となった。
F1下まで無事に降りる。
左のクラックが登れるのか試すような時間も気力もなく、ロープを束ねて、2分ほどで二俣へ到着。
何とか周回できた・・・。これで生きて帰れる。
水を持って行かなかったこと、緊張で喉がカラカラであり、水をがぶ飲み。
登攀具は装備解除して、下山にかかる。
下降の際、荷物が水をめちゃくちゃ吸って、重いの何の・・・。
暗くなる前に出合に戻れず、はじめの10m超の滝手前でヘッデン使用。
下部に来ると暑くなった。
出合の少し先で、沢装備を完全に解除。水浴びして、負傷した腰の付近も冷やす。
戸台大橋で一息入れて、駐車場まで4km程度を歩き、終了。
この記録を書いていて・・・。
イワンヤ沢は変化しやすいと思われ、次に入る人は簡単かもしれないし、もっと難しいかもしれない。
私のようにF1から少々手こずるようだと、F2とF4は苦労すると思う。
F4は少なくとも、中間~上部が崩壊しまくりで、同じ登り方はできないでしょう。
とにかく、F4の悪さは群を抜いているのは間違いない。
あの上部での手に足ムーブは忘れられない!!
カム、ハーケンは必須で、更にアブミもあった方が良い。
イワンヤ沢は、近年難しくなったとのことで、それなりに装備も準備していたが、自分だけの力・装備では突破することはできなかった。惜しみなくそれを貸してくれたK君のお陰で、本当に感謝だ。
自身の沢屋としてのレベルも飛躍的に上がる内容だった。
それに、まだまだ未熟と痛感した。
こういう沢も安定してリードできる技術や精神力がつけば、一端の沢屋かなと考える!
イワンヤ沢左俣遡行、右俣下降 / Argonさんの活動データ | YAMAP / ヤマップ