結局、当初予定の山へと冷やかしに行くことにした。
2000m超峰としては、いつかは登らねばならない。しかし、いつになったら解除されるのか不明であり、活動レベルが最低である状況が悪化したら、二度と行けないかもしれない。そんな思惑が働いていた。
北側、鉱山跡から窺う。
調べると、幾らかこちらは登る人がいるようだ。
舗装路が終わる場所。巡回の人などいれば、即中止しようと思ったが・・・、誰もいない。
咎められたら、全力で謝るし、処分も覚悟している。
硫化水素の性質として、水に溶けやすいので、雨で少しでも軽減されると期待する。
しかし、状況次第では下山すると決めて入ることにした。
登山道は手入れが最近されたようで、笹が綺麗に刈られている。
維持するということは、また通す気はあるのか。
傾斜は一定で、比較的緩いので、どんどん足が進む。
目立つ岩にはペイント。
高度を上げるにしたがい、雨足が強まる。
しかしながら、撤退を決めるには弱いと思える。
2000m程度で、礫地帯。コマクサの大群落地帯となり、その中を通過していく。
今回の目的の一つ、逢ノ峰へまずは向かう。
本白根山のルート取りも観察しながら、最短で行く。
これまでと異なり、笹薮がだいぶ酷い場所が多くなる。
新調した(と言っても中古購入)雨具も、これには辛い場面。
加えて、この滑りやすい木道。
歩かれてないため、足を完全にフラットに置かないと、必ず滑る。
足には余裕が十分にあるが、ペースが落ちる。
藪を抜けると、リフトが見えてくる。
当然、ここまで来れば楽勝。と思いきや、車が数台ある。
逢ノ峰まで、あと10分もあればというところだが・・・。
やはり、今回は縁が無かったと早々に諦める。
大人しくというのも正しくないが、本白根山を目指して登り返す。
登山道は元来ないようだが、北東から入ると、踏跡は明瞭であり、目印も幾つもある。少々藪っぽさはあるが、先ほどと比較にならない歩きやすさだ。
山頂。展望はない。
頭上に山頂標識。積雪期に付けたのだろう。
シャクナゲの花が幾つか咲いており、労ってくれた。
ひとまず、一矢報いたが、物足りなさは否めない。
歩道の最高点にも足を延ばすことにする。
そのまま南西に抜けるが距離的には合理的だが、先はそれが困難な藪であり、引き返す方が圧倒的に省エネと踏む。
コマクサの咲き誇る中を移動。
最高点は正に通過点という印象。ここがそれのようだ。
途中、カモシカの親子がいて、こちらに驚いたようで声を上げていた。あの動物も声を上げるのか。この天気、状況では無理もない。
更に欲を出して、二等三角点(2165m)、点名『白根山』に行く。
トラバースで展望が無くなる藪っぽい場所を抜けると、ロープや標識が設置された休憩所のような場所がある。
ここしかないという場所だ。東側は強いハイマツとシャクナゲ藪だったが、ここは丈が低い。
踏跡も幾らかあり、利用しつつ進むが、それも途中で無くなり、ハイマツも立ってきて、手前100m地点からはガクッと速度が落ちる。
そこが三角点の頂上。背丈を越える藪。
笹などもかき分けてみたが、三角点は見つけられなかった。今も頭が出ているのか、それとも埋没してしまったか。
残念なことだが、踏めただけでも良し。
この真西に、三等三角点があり、点名『念仏山』とある。
過去、万座温泉~本白根沢で死亡事故があり、この点名は、そいうことかとも思ってしまった。
本行程の中では、本白根山から逢ノ峰間が谷のようであり、有毒ガスを懸念していた。案の定、その木道の辺りは硫黄臭がややあったが、ここでは無臭であった。
また、車道、特に殺生河原付近が最も臭いが強く、比較にならないほどに入山してからは薄い。
いずれにしても、長居は無用。再度、藪に少々もがき、登山道に復帰。
やっぱり藪漕ぎは疲れる・・・。
クロマメノキ。葉が雨をはじいて綺麗なものだ。
自分の着る雨具とは対照的だ。
喉を潤し、下山にかかる。
ミヤマシャジンかな。コマクサより圧倒的に少ない。
やっぱり主役は、コマクサでしたね。
先週の日光白根山では、こんな写真が撮れる予定でいたが、逆となった。
雨に濡れるコマクサの何と美しいこと。
ややピークは過ぎているが、それでも十分。
色が濃いものが大多数だったが、極僅かにシロバナ寄りもいた。
礫地帯でお別れして、樹林に入れば、用も足枷もない。
刈払われた笹に滑らないように注意しながら、一目散に下り切った。
下は小雨であったが、汗と藪漕ぎで下着や靴内まで浸水して不快でたまらず、全てを着替えることとなった。
草津白根山は、暫くは静観するしかない状況と良く分かった。
浅間山とは、静穏期と活動期が逆になると、日本山名事典には記載がある。気に留めておこう。
今は近くて非常に登頂から遠い、そんな山だ。