家業の切羽詰まった感も薄れ、折り返しとなり、若干の余裕を得る。
朝の仕事後、ここぞとばかりに気晴らしに向かう。
目標は塩山(1999m)。
奥秩父の地図を見る度に気になっていた。主縦走路から外れており、年間、何人が訪れるのだろう。
笛吹川東沢→釜ノ沢→西俣→塩山→両門ノ頭→甲武信岳という予定。
長丁場になるので、鈍りに鈍った足には非常に強硬策といえる。夜行下山は必至。
加えて、最高気温も更新しようかという日に当たるなんて・・・。
さて、西沢渓谷の駐車場は平日なので、非常に少ない。
いつも同様に、花の写真を撮りながら向かう。
ここまで快晴だと清々しい。河原歩きでの照り返しに覚悟する。
東沢は過去に歩いているが、今回は気ままに写真をゆっくり撮れる。
旧登山道の名残は序盤しっかり残っており、普通の登山道とさほど変わらない。
イワタバコ。これ以外に何が出てくるか。
右岸をトラバースしている。滝を見る。
何のレリーフでしょうか。
ホラの貝ゴルジュは死亡事故があったので、警告多数。
ホラの貝ゴルジュ。ウェットスーツ無しでは、とても挑む気にならない。
今日のような盛夏でも、中は冷気が籠っていることだろう。
上からも覗いてみる。
寒さに耐えられるかしら・・・。でも、楽しそう。いつかここだけでも。
古い標識発見。手間にも朽ちたものがあった。
その先、いつの間にか沢に下りたら、山の神も通過していたようだ。
洞門。標識がかかっていた。内部を通過してみる。
ボルダリングできそうか、右の大岩が気になる。
抜けた先にも、大きな岩。これも遊べそうだ。
ノリウツギとしては木が大きいので花が目立つ。たわわに。
乙女ノ沢。アイスならば・・・?
東のナメ沢が圧巻。下部を少し登ってみたが、ここはクライミングシューズが間違いない。
暑いが水色が綺麗で癒される。
太陽がギラギラ。これぞ、盛夏。
西のナメ沢ではない、もう一つ手前の沢。
こちらが西のナメ沢だった。傾斜は緩いがどうでしょうか。
これは、一応登りたいと思っている沢。
折角なので、滝の左を登ってみる。滑りそうで緊張した。
釜ノ沢出合には、赤いペンキで記載あり。すぐ上にはこのプレート。
そして、見所。
魚留滝。NDフィルター持ってきたので試す。明暗がきつくて難しい。
こちらの写真の方が見栄えがいい。季節感満点だ。
靴に入った砂利を取って休憩。
左から越えて・・・。
上部も滑。乾いた右側が安心して登っていける。
まだまだ、ここからも。
千畳ノナメ。悪くない。
どうしても、去年の沢上谷と比較すると可哀そうだが、十分に良い。
ラバー靴でも乾いたところか、水流を行けば大丈夫。
三段滝と標識があった気がする。左が楽だが、右も行けそう。
ドボンは御免なので、大人しく左を行く。
シモツケソウが巻き途中には多かった。
野猿滝。頑張れば、左行けるかも。ここも大人しく、左岸巻き。
花に癒されつつ。
東沢の白眉、両門ノ滝。西俣と東俣を分ける。
この空間を堪能する。
行先は、西俣。事前情報見てこなかったので、どちらから巻こうか思案。
滝の左は傾斜がきつそうだったので、東俣の滝上から適当に巻いた。
残置紐があったが、適当に下りられる。
雰囲気が違う。苔でぬめっていて、水流の岩が茶色く成分の影響か美しい感じを受けない。
左を歩いていると、残置ピトン発見。
濡れるだけだが、確かに滑りやすいから確保があってもいいのかも・・・。
滑が数十m続いて、5mほどの滑滝。
滑だけれど、余り惹かれない。
そろそろ、塩山を左に気にしながら、どこから行こうか・・・。
岩記号の右(北)の沢地形が本命。
ここがそれ。傾斜も大したことはないし、右に余裕で逃げられる様子。
樹林も密度は許容範囲で悪くない。ここを登ることに決定。
西俣は上部の方が綺麗に見えた。逃がした魚は大きい的な・・・?
一応、この支流で水を補給しておく。
下部は多少倒木が気になるが、上の方は間伐されているかのような状態だし、いい雰囲気。でも、シカの糞があちこちに散見され、先ほど汲んだ水は余り生で飲みたくないかも・・・。保険で。
これはしてやったり。塩山直下まで藪は皆無だった。
お目当て、塩山の山頂。
シャクナゲの密藪で、これまぁ何とも。
最高点付近を藪漕ぎしてみる。
これは、『激藪の隙間より』のS.K氏のものだ。いいものを見つけられた。
事前情報は今回仕入れていないので、主稜線までどうでしょうか。
さて、ここからが大変だった・・・。
密藪もこの辺だけと思いきや、屈強なシャクナゲ藪が立ちはだかる。
2~3分ほど先の場所から、国師岳辺りがよく見えた。
手前から、信州尾根、石塔尾根、天狗尾根でしょうか。
さて、行きますか。正面突破です。
体をシャクナゲの間に滑り込ませ、枝に乗り、かき分け・・・。
しかし、早速、藪で溺れかける。枝に乗って進む感じで、地に着かない場所も。
沢歩き最中は少しあった風が全く感じられない上、日まで照るので暑くてたまらない。
余りに進捗よろしくないので、東側のシャクナゲが薄そうな方へ避難。
これはいい。稜線上より、遥かにましだ。
獣道も薄っすらとあり、これを最大限利用することにする。
ザレの手間にあったマスタケ。群生していたのが、緑の中でひときわ目を惹いた。
1950m程度まで進むのに結構な労力を要した。
稜線に再度乗るも、変わらぬ景色。
マシな場所もあるだけに、ルート取りが難しい。
稜線の西寄りを行ったり、復帰したり、右往左往・・・。
ふと、足元に何か飛び出してくる。カエル!こんなところにいるのか。
ヤマアカガエルと思われるが、どうなんでしょう。
最早、左右どこを歩いても、大差無い。
稜線以外のシャクナゲ密度が低い場所を進むしかない。
いよいよ上部になると、藪が少なく、段違いに歩きやすくなる。古い赤テープも発見。
獣道で適当に縦走路に乗り上げることができた。
逆ルートの場合は、尾根が最初ばらけているので、少々分かり難い印象。
本当に、天国のような道に感じる。
さて、下山がまだまだ長いし、甲武信岳までアップダウンも少々ある・・・。
両門ノ頭の展望地まで行ってゆっくりすることに。
やっと富士山が見える! やっぱり、嬉しい。
登ってきた塩山尾根も眼下に。すっきりした綺麗な尾根に見えるのに、あのシャクナゲ藪はちょっと想像つかない。
ミヤマシャジンでしょうか。これまたご褒美。
藪漕ぎのお蔭で、ゴミだらけなので、休憩しつつ処理する。
縦走路は冬にしか歩いたことがないが、この時期も良い。
ハクサンシャクナゲの遅咲きがまだ残っていた。
ベニテングタケ。結構な頻度でお目にかかる。
やっと富士見。
また水師まで少し下って、登る・・・。疲れる。
でも、来て良かった。足に優しい道に加え、とにかく苔の絨毯がたまらない。
毛木平からの道を左から合わせて、最後の登りへ。
展望地がここまでもいくつか。
あともう少し。岩場が夕焼け。
やっと、到着。
夕暮れの景色をじっくり楽しむ。
御座山も負けていない。
そちらに目を奪われているうちに、夕焼けの富士山を撮り損なってしまった。
完全に日も落ちたので、いよいよ下山。微風で涼しくて助かる。
空の色が変わっていくのに思わず歩が止まる。
甲武信小屋はひっそりとしていた。さて、最後の核心、木賊山への登り・・・。
途中のザレ場で、恐らく最後の景色を楽しむ。
金峰山もシルエットでよく分かる。
富士山も空の焼けとよく映える。
日頃の溜まった毒素が浄化されていくかのよう・・・。
木賊山。標柱は刷新されたようだ。
ずっと長い間、私はこれが一等三角点と思い込んでいたが、三等三角点だったんですね。点名『破風』。しかと覚えました。
水をケチっていたが、この涼しさなら持ちそう。
予定では、鶏冠山山頂で日没を迎える感覚だったので、2時間遅れくらい。
流石に、余り遅くなっても困るので、ヘッドライトを装着して、ぼちぼちと無難に戸渡尾根を下る。
岩がガラガラしていて、割と気を遣う。
一ヶ所、富士山が見えたのに慰められた。中腹にも明かりが見えた。
途中で、テント張っている方がいらした。休んでいる所、申し訳ないです・・・。
徳ちゃん新道分岐で、再度休憩。
高度が落ちて、気温も上がって暑くて困る。
ここからも意外と長いんだよね。
運動不足の体にはとっても堪えて、2回ほど小休止を挟んだ。
蛾が光に寄ってきて、何度顔に直撃したか・・・。休憩中はお祭りのように乱舞。
林道歩きでは、途中、ヌク沢で水浴び。
そして、星を見ながらこなした。
充実の一日でした。
もう少しハードな山行も出来るように精進します。
- コースタイム
西沢渓谷駐車場(9:25) → 鶏冠谷出合(9:55) → ホラ貝のゴルジュ(10:15) → 洞門(10:40) → 乙女ノ沢(11:00) → 東ノナメ沢(11:15) → 西ノナメ沢(11:35) → 魚留滝(12:10) → 野猿ノ滝(12:35) → 両門ノ滝(13:00) → 西俣滝上(13:20) → 支流取付(13:30) → 塩山(14:25) → 縦走路(16:30) → 両門ノ頭(16:50) → 富士見(17:25) → 水師(17:55) → 甲武信岳(18:25-18:50) → 木賊山(19:15) → 徳ちゃん新道分岐(20:15) → 西沢山荘(21:40) → 西沢渓谷駐車場(22:10)
塩山・両門ノ頭・富士見・水師・甲武信ヶ岳・木賊山 / Argonさんの甲武信ヶ岳・木賊山(山梨県)の活動データ | YAMAP / ヤマップ