夜はひんやりしたが、合羽を着てゆっくり星を楽しんだ。
4時過ぎに眠気を殺して食事の準備。水はふんだんに使えるので、ありがたい。
そして、朝を迎える。この時間帯の急速な変化が大好きだ。
雲の上からの太陽だが、これもまた一興。
こんな状況に身を置ける幸せを噛みしめる。
ホテル坊主山はこんな様子だった。本当に快適。
名残惜しいが撤収。適度な枝があるので、マスリングを連結して物干しもしやすかった。
もう来ることはないかもしれないので、この場をしっかり楽しんだ。
さて…、足の違和感は変わらず。痛みはそれほどではないので、行けそうだ。
ザッテルからトラバース気味に左手に登り、踏跡を辿る。
折角なので、南坊主岩にも空身で向かう。
藪は大した感じではないが、岩も噛んでいるので、縫うような感じで進む。
ここが南坊主岩の最高点だ。
何か人工的な物があるかと思ったが、全く無い。
本当に、この下に5.10代のルートがあるのだろうか。
戻って先を目指す。藪はそこまでではないものの、岩が何カ所もあって右往左往。
ここ以外にも紫色のキノコがたくさんあった。オオウスムラサキフウセンタケ?
基本的に稜線を行くが、岩の基部を歩いた方が、藪が少なそうな感じがする。
どっちにしろ、ザックに引っ掛かって進みは遅い。
鋸岳の稜線と、烏帽子岳も。暑いが何とか耐えられる。
まだまだ稜線が遠いよぉ・・・。これは迷わず、右の滑滝沢源頭へと滑り込む必要がある。
先人の記録が無くても、こんなの絶対に正面突破なんてやる気にならない。
この辺はハイマツが幅を利かせているが、踏み倒せてまだ楽。
その後、発狂するようなザックへの抵抗。
やっとこさ歩きやすい地点に。こんな風だったら最高なんだけれど、行程中僅か。
この辺りから、獣道を利用して、右にトラバースを仕掛ける。
藪が無いって、こんなに素敵な景色に見えるんだね!!
ちょっと登った先で、水も少なくなるので、ここでブランチ。
ガス使ってコーヒーも飲んじゃう。水は冷たくて美味しい。
ほぼ満タンにして、ガスが登ってきたのを契機に、再度登りにかかかる。
けれど、楽ができたのも束の間、いつの間にか藪の壁に突き当たった。
獣道が利用できるのだが、何せザックが引っ掛かって如何ともしがたい。
この回避行動がとても足に堪える。もう遅々として進まない。
ああ、鳥はいいなぁ。私はこんな所も殆ど正面突破ですからね。
ナナカマドとハイマツの熱烈を超えて執拗なまでの歓迎を受けた。
ガスが消えた最後の坊主尾根を見られて嬉しかった。
若干、ハイマツの高さが低くなって、やっと稜線!へとへと。
ガスで余り見えないのは残念。また休憩。
ウラシマツツジはすっかり紅葉していた。
黄蓮谷の時は、樹木はもっと紅葉が進んでいたが、今年はまだ早い。
僅かだったが、下界が覗けた。振り返った際に一枚。
今年も参りました。甲斐駒様。
ここでも大休止。水をがぶ飲み。オレンジも1個食べちゃう!
今回はこだわって、食事にもフレッシュな野菜や果物を持ってきたのだ。
美味しさはひとしおだ。
足が攣れそうな感じはあったが、ほぼ無かったのは多少は効果があったか。
展望は残念ながら、摩利支天が見えるくらいで、北岳や仙丈、鳳凰といった近場も裾が見えるのみ。
明日は予備日で使えるんだけれど、足がこんな状態では気力ももう無い。
このまま黒戸尾根を下ることにした。
実は綺麗な朱色。紅葉の方はまだ先か。
見慣れた景色の有名スポット。
赤石沢の岩場へのルートなどちょっと観察しながら。
七丈小屋はテントも平日だが、何張か。小屋泊らしき人も何人かいた。
退職した暁には、一升瓶持ち上げて、小屋で贅沢な時間を過ごしたくもある。
藪漕ぎでの消耗が想像以上にあったので、階段がいちいち堪える。
五合目小屋跡で、再度大休止。
今までここから沢は気にしたことがなかったが、あれは篠沢でしょうか。
宮ノ瀬、ツヅミ、坊主尾根も絡めて、興味が出てきた。
登り返しに体が拒否して現実逃避。黄蓮谷への踏跡をちょっと先まで。
ロープは張られているが、そこからも明瞭な踏跡が続く。
これならヘッデン利用でも大丈夫そうだ。
もう、ここからは修行。
見たことが無いキノコを撮ったりしながら、気を紛らわせる。
標高下げるにつれて、暑さで苦しむようになる。午前中3Lを汲んだのに、水の残量が不安になってきた。
平坦地は足に優しくて助かる。
笹平でヘッデン準備して、間も無く使用する。
沢の冷気の恩恵にあずかるまで、何度も水分補給。本当にオーバーヒートする。
神社に何とか下山。休むと汗冷えがして、今度は寒くなる。
ここで終わりではなく、駐車地点まで登り返し200mほどという絶望的な状況。
ザックを放置しても、また駐車場から5分程であっても、こんな所まで往復したくない。
登って10分もしない内に、また暑くてたまらなくなる。何度も何度も休みながら、まだかまだかと、林道に出るのを待ちわびて登る。
林道に出て、ザックを転がして車を取りに行く作戦にする。ここならば、車横づけで回収可能だ。
林道を2分歩いて、今度は汗冷え!最後で風邪引いたなんてお粗末な結果は御免なので、着替えに戻ってから車まで。
そして、ようやく終わった・・・。
神社から矢立岩登山口まで50分の標準タイムを一体どれほど上回ったのか。
それほどまでに足の具合は悪く暑さでも消耗し、たかが200m程度の登りに苦しんだ。
もう温泉にも行けない時間になってしまったので、自販機で炭酸飲料を買って、すぐに帰宅した。
ともあれ、目的は達成できて嬉しい。
技術的な面より、体力的・基礎的な要素が著しく欠けていた。
日帰りであれば、まだ誤魔化しもきく場合があるが、泊まりとなると全く話は別だ。
一から出直す気持ちで、また山を楽しみたいと思う。
- コースタイム
坊主山(6:05) → 南坊主岩(6:30) → 沢(9:05) → 稜線(11:50) → 甲斐駒ヶ岳(12:55-13:25) → 七丈小屋(14:55) → 五合目小屋跡(15:25-15:50) → 竹宇・横手分岐(18:20) → 竹宇駒ヶ岳神社(19:35-19:50) → 矢立岩登山口(21:10)
北坊主沢 坊主山・甲斐駒ヶ岳 / Argonさんの坊主山(山梨県)・甲斐駒ヶ岳の活動データ | YAMAP / ヤマップ