残雪を活かした登山を目論んでいたが、雪の少なさと天気に翻弄される。
黒部の丸山と別山を予定していたが、連休における扇沢の混雑は必至と思い、白山東にある山へ行くことにした。
連休のため渋滞が多分に予想され、深夜に出発。
安房トンネルを抜けたら雪が舞っていた。まぁ、5日は回復傾向のはずだが、これ如何に…。
道の駅飛騨白山は深夜でもたくさん車が停まっていたため、少し林道を上がった余地に駐車し、40分程うとうとする。
到着してすぐに横目で登山者らしきヘッドライトが見えた。
空が白んで来たのを見て、道の駅のすぐ上の駐車余地を4時半過ぎに出発。
登山届を出すようなので、一応記載して進む。
林道が伸びているが、倒木やら落石やらで通行不能。
少し歩くといよいよ山道になる。
標識らしきものはあるが、判読困難。
左の階段を登り、沢沿いを上がっていく。
すぐに右斜面をトラバース気味に登る。
国土地理院地図と違い、道は尾根の北を回っていた。
進んで行くと、見事なブナ林が広がる。
朝日も昇り、とても綺麗…。
境界標識は木に取り込まれているものもあった。
木に名前が彫られているのがあり、野暮なことをするなぁと思う…。
主稜線に乗ると若干だが切り開きから展望あり。
この手前にもあったが、イワウチワがたくさん迎えてくれる。
癒される…。地元には一箇所しか知らないので、つい足が止まる。
四等三角点が途中にある。この辺はまだ勾配が緩い。
しばらくすると、ロープ付きのドロドロの道となる。
一見何ともないのだが、落ち葉の下がねぇ…。
いよいよ、雪が本領発揮してくる。
空が青い。遠い所は透明度が高くないのだが…。
先ほどの泥濘染みた道より遥かに歩きやすい。
登り着いた先は見事な景色が待っていた。
どうやら新雪で綺麗な雪みたいだ。
上の写真の左が三方崩山。上の方はまだ雪が多く見える。
ここで先行者をパス。
振り返って一枚。
北面の様子も。人形山あたりが見えているのかな。
向かう先はこんな雪稜で素晴らしい。
動物に続いて自分もこれを辿る。
踏み抜きも少なく、安定して歩ける。
岩場には鎖が時々埋まっていたり、顔を出していた。
中々険しそうに見えるが、近づくとそれ程ではない。
キックステップとダブルストックで登っていける。
左が三方崩山。右奥に小さく奥三方岳も見えている。
念仏尾根の向こうに、笠ヶ岳や笈ヶ岳が見える。
やや急な下りを振り返って。鎖とロープが付いていたが、今日の状況での困難さは無かった。
ここからは時々崩壊した雪庇がある。
少しルート取りをミスするが、雪の状態良く乗越もできた。
登山届の場所から、3時間半程で、三方崩山に立つ。
二等三角点は露出していた。
南から東は展望がとても良い。
先の雪の様子も悪化が予想されるので、休憩はそこそこに発つ。
ひとまず偵察がてら、南の崩壊地の縁を進んで行く。
奥三方岳との鞍部に一応降りていけそうだったので、笹薮を突っ切るように鞍部を目指す。
笹の深さは腰から胸以下であり、概ね歩きやすい。
下りで雪も乗っていることも手伝い、軽快に下れた。
鞍部から振り返ると、北側は雪が繋がっているように見えたので、帰りは雪質を判断してあちらを進んでもいいかと思う。
登りは笹を避けつつ、避けられないところは突っ切りながら。
登り上がると気持ちのいい緩やかな尾根になった。
いよいよ、奥三方岳が指呼の距離になる。
直下が窪地になっており、もう少し時期が進めば池になっていると思う。
左側から回って雪面を登って山頂に立った。
頂上付近には深さ3mはあろうかという穴がいくつか口を開けていた。
雪が腐ってきており、帰りの踏み抜きでこんなのに嵌ったら惨事だ。
展望は、一部西側の木はあるが、ほぼ360度素晴らしい。
白山と別山は格別だ。去年、南北に縦走した道も感慨深い。
やや風が気になるが、まだ時間もあるので、鎌ヶ峰(1980m)まで進むことにした。
この下りは地吹雪の様相を呈しており、これまでの雪面と違い磨かれて固く、アイゼンとピッケルに変えて下った。
ここの下りはかなり勿体なく感じるが、折角ここまで来て…、という意地もあった。
上の写真中央が鎌ヶ峰。崩壊して屏風の様。
振り返って一枚。やっぱり改めて見ると登り返しが大変そうだ。
概ね尾根上を歩くが藪が煩くて崩壊の縁を歩いたり、尾根の右側の雪に乗ったりして歩行速度は遅めだ。
ようやく、鎌ヶ峰に立つ。目印の類は見当たらない。
間名古の頭の通過点とも言え、地味なピークだ。山名事典にも記載が無い。
白山の遮ることのない景色を楽しんで戻る。
ここで事件発生。
左アイゼンの踵の樹脂が切れてしまい、これがきっかけで膝と足首を少し痛めてしまう。
一度外して、右足のみで戻っていく。
奥三方崩岳の直下だけは、戻った時間でも雪が固くキックステップでは困難だったので、手持ちスリングで応急処置して登った。
これで何とかなりそうだ。
奥三方岳からの下りはグリセードするが、膝が辛くてすぐに断念。
東面ということで温度が高くなるのが早いのか、雪も緩んで踏み抜きで膝までしっかり埋まってしまう。
雪上を歩くより、笹薮の方が足への負担が少なかった。
登りでは気付かなかったが、笹の下にはショウジョウバカマがたくさんあった。
ここの斜面は夏でも行けそうな笹の丈だが…。
考えていた三方崩山への登り返しは雪を辿るより、笹をつかんで登る方がまだマシと思え、灌木をくぐったりしながら何とか戻った。
この程度の距離で助かった。
三方崩山の木陰で休み、左アイゼンは外して、右アイゼンとダブルストックのスタイルで行く。
稜線はだいぶ雪が溶けてしまっている。
泥濘の道は滑りやすく、やれやれだ。
1897.3m三角点ピークへの稜線も中々いい。
ジリジリと暑さにやられるが、足の件もあり、展望を楽しみながらゆっくり下る。
樹林の急な下りでは登山道が雪解け水で沢のようになっていたり、落ち葉の下がそんな様子なので、全く気が抜けない。
ブナ林まで降りて来て安心する。それにしても気持ちがいい林。
そして、これ。コシアブラ。
本当にたくさんあったので、少々いただいた。
タムシバやイワウチワの花を楽しみながら下山。
車道終点でスパッツや靴を洗って一息入れる。
やっと戻って、下山届を出す。
白山の2000m峰は何とかなりそうな感じがするが、何年かかるやら…。
- コースタイム
登山届(4:30発) → 車道終点(5:00) → 四等三角点(6:05) → 三方崩山(8:00) → 鞍部(8:20) → 奥三方岳(9:05) → 鎌ヶ峰(10:00) → 奥三方岳(10:55) → 鞍部(11:30) → 三方崩山(12:00) → 四等三角点(13:20) → 車道終点(14:20-30) → 登山届(14:55着)