遠流日記

登山・滝見・バイク等、趣味日記  ★沢パートナー大募集!★

小常木谷

秩父の沢の中では、豆焼沢に次いで行きたいと思っていた沢の一つであった小常木谷。
ここまで今まで引っ張っていた理由として、『置草履の悪場』なる滝場を巻いてしまっては全く遡行価値が無いから。
R君にセカンドでフォローしてもらい遡行に至る。
余慶橋から入渓。滑瀞経由。

5月に入渓した時はさほどではないが、今日は少し水量は多い様子。

丹波川を分けて右の小常木谷を目指す。
2回目だが、ここのゴルジュは素敵だ。

火打石谷を分けて小常木谷へ。先日の台風の影響か、大常木林道の橋は少し流されていた。
橋を2回ほど横切ると小滝。

3m程度で右側が登れる。

再びゴルジュとなる。こちらも素敵だ。

4m程度で小さい。右を簡単に越える。

ここは岩肌が長年磨かれているのか紋様が綺麗であった。
なるべく水線に沿って登る。

2段になっている滝。下段は左から。滝壺は深くて、R君が攻めたが、右は足がつかないようだ。

右から左へと登って越える。

通常であれば大した印象もないのだろうが、滑というか流れはいい感じだ。

遡行図では3×7m滝。水流豊富で右を結構楽しく登る。

しばらくすると滑が綺麗なところで支流の沢が落ちている。花ノ木沢だ。


出合からはいい感じの滝が落ちていた。平常時はどの程度の水量か分からないが見栄えがする。
下段6m、上段8m程度の印象かな。

いよいよハイライトとなってくる、前座の銚子ノ滝10m。

傾斜があるため威圧感はある。
左壁がルンゼっぽいようになっており、ロープ出して登る。残置多数で簡単。
登ってみれば、Ⅲ程度なのでロープ出さなくても、そんなに問題なさそうだった。
が、灌木に引っかかってロープの流れが悪く時間を食ってしまう。
上にはトラロープがあるが、とても信用ならないので、R君を確保して先に降りてもらい、若干の懸垂で降りる。
降りた先は倒木だらけの、逆くの字滝といわれる滝。8mあるとされているが、倒木でそんな高さは感じない。
歩くかの如く下部は倒木を跨いで、上部は突っ張りで簡単に越える。

小滝(6×9m)を越えて、その奥には大物がいた。

不動滝12m。水量豊富で直登はとてもできそうにない様子。右岸からも巻けるそうだ。
今日の一番ベストなラインはやはり右支流を登ってトラバース気味に登るように感じる。
支流もそこそこに水量はあり、シャワーで登る。

通常は丹沢の雨棚のような滝なのだろう。
不動滝を横目に左へ移動していく。

スラブはヌメっており少し緊張するが、特別問題になるところはなかった。
トラロープがあったがあまり用を成さない。
そのまま上の小滝も巻いてしまっても良かったが、懸垂で滝上に降りる。
懸垂した木の先にはトラロープがあったが、そちらは今日のコンディションでは危険と判断しての懸垂下降。
すぐ上の小滝5mは簡単に右から越える。これは大滝が登れる登攀力があれば、難しいはずはない。

そして、次の大物、大滝。下段4m、上段14mの滝。

下段は倒木で埋まってしまい美しくない。
R君は巻くと言うが、絶対に登れるはずなので、フリーで取り付いてみる。
上段10m程登ったところで、おそらくⅣ程度の場所が出てくる。
残置ピトンも僅か2m程度で4つあり、ここは厳しいとと判断して慎重に様子を探るが、どうにも外傾スタンスで踏ん切りがつかない。
最早、下にはR君はおらずに巻きに入っており、懸垂するか、長めのスリング残置してクライムダウンしか確実な方法は無いと覚悟した。
登りたい心と恐怖心がせめぎ合う。正に、これが『セミになる』ことだと思った。
巻き終えたR君が上から声をかけてくれて、下からビレイしてくれることになり、セルフ取ってロープ使用して再開。
3手程度だが、緊張する場所があり、メンタル勝負。
登ってみるとそうでもない印象であったが、これは負け惜しみだろう。
ロープを出す際には三脚を落として破損しまうし、R君は再度巻いて戻るというので残地ビナ・スリングもあり、結構痛手。
大滝を甘く見た勉強代としておく…。
でも、ここで吹っ切れた。
続くねじれ滝。下段8m、上段10m。

R君は最早登る気があまり無いようなので、一応ロープを託して水流右をフリーで下段を登る。
ここも残地が水流近くに2つ、水流離れた右壁に残置スリング付もあった。
水流が強くて左のスタンスがいまいちであったため、上からロープで確保してもらい登り切る。
元よりA0など最終手段なので、残置スリングを使って壁を登るよりも、水流に微妙なスタンスと甘いホールドで登る方が安心だった。
上段との間は安定しており、アンカーに一応足りそうなピトンがある。
折角ロープ出していることもあり、上段を登らずにはいられないので、左から取り付く。
ピトンは4つ程あって、上部は水流方向のスタンスに右足を上げる前後が核心。
安心感もあって余裕を持って越える。
R君にはかなりピリ辛だったようだが、テンションがかかることなく登ってくる。

岩岳沢に着く。15時前に着いたらもう少し先へ進もうと予定していたので、その通りに遡行。

12m滝がすぐに曲がった左に現れる。
右から取り付いて中間辺りから水流に復帰して右を登ると楽しい。傾斜はあるが、ガバが適度にあるⅢ程度。

その後は簡単な小滝。

左からの支流も滝となっている。やはり、今日は水量豊富なのだ♪
これを詰めてもいいようだが、単独ではないので、自重。

快適な緩い沢の様相だが、小雨とガスでどうにも。

地形図上の滝記号の滝だと思う。水流右からど真ん中を楽しむ。
ここでそろそろ限界と判断して、沢装備を解除して登山靴に履き替えて尾根に取り付く。

途中に木材搬出用ケーブルと思しきものがあり、安全な尾根と確信する。
予想通り、上部は植林帯となるが、最後の稜線付近は枯れた笹の藪漕ぎとなった。

岩岳を下り切る鞍部の少し前に詰めたようだ。登山道に出て5分程度で何やら人工物。
何でしょうか・・・?

トラバース気味に続く登山道から岩岳のピークを踏む。
展望まるで無し。小雨やガスもあり、余計に無い。2つに割れたお手製の木のプレートと三角点があるのみ。
もうここからは用は無い。R君の様子をみながら飛ばして下る。
途中の樹林帯はかなり暗くて雨の音も聞こえてきたが、何とかヘッドランプ使わず(R君は途中使用)戻る。

雨は凌げそうな小屋を通過して沢を渡渉していく。

かなり暗くなったが、何とかなりそうだなと話していると、この木橋が有り得ない滑り方をする。
四つん這いになって1つめを渡った。
滑瀞を下る方が楽なのだが、この道の先の様子も気になるのと、沢靴にわざわざ再度履き替えたくないのとの思いで、そのまま登山道を行く。
これがやたら登りまくり大汗を欠く。
結構長い1日であったが、戻ってこれた。
いつも通りの、はくさいで天丼でお腹いっぱいにして帰る。
今回は反省点がかなり多かった。
ロープを出すかどうかの判断はやっぱり難しい。銚子ノ滝は出さなくてOK。大滝とねじれ滝は絶対に必要。
意思疎通がいまいちで残置してしまった。一応、懸垂してバックアップと仮固定して回収は可能であったが、時間的にも圧迫感があった。
そして、体力・脚力は何よりも重要。秋からは再度外岩リードでトレーニングだな…。
2級上でこれでは、目標とする黄蓮谷などは遠く及ばないように感じた。
まぁ、問題点が洗い出せたという点では、大きな前進の一本であることは間違い無い!!