5時過ぎに石塚小屋を出発。
今日も多少視界は悪いが、雨は降っていない。
改めてシャクナゲが綺麗だ。
これを見るために山に来たと言っても過言ではない。
昨日来た花之江河まで戻り、いよいよハイライトへ。
しばらく進んだ分岐で、黒見岳へ空身で往復する。
期待していなかったが、山頂直下で、何と雲海の上に出た。
昨日登った七五岳の大岸壁がまず目に入る。
距離はあるが、花崗岩の大きな壁は良く目立つ。
山頂に着いてみると、ガスが断続的に通過するものの、主要ピークが眼前に。
永田岳〜宮之浦岳。感激・・・。
翁岳〜投石岳辺りの稜線も素敵。
シャクナゲにこの景色はよく似合う。この組み合わせで、ふと瑞牆山が頭によぎる。あそこもこんなに素晴らしいのだろうかと。
また、山頂付近にはイワカガミがある。こんなところにもあるのか。
まだゆっくりしたいところだが、気温が上がってガスが上がらないうちに宮之浦岳に立つべく進んでいく。
投石岳付近からは、シャクナゲの群生が特に顕著となった。
白い花も多くある。湿原もあるし、シカは飛び出してくるし、飽くことは無い。
自分のペースが遅かったのか、栗生岳の標高に来ても、ずっとガスの中だ。
そして、島内最高地点、宮之浦岳山頂へ。
ガスの中にいるようだから、しばらく展望を待つ。
その甲斐あって、貫禄ある永田岳を拝むことが出来た。
北から登山者が多く上がってくるので、先へゆっくり進む。
語彙力や表現力が無いので、くどくなってしまうが、シャクナゲの群生が本当に見事・・・。
シャクナゲってこんなに花が咲く植物だったのか。今年が当たり年なのか。
歩きながら、永田岳の往復も迷いに迷ったが、見送った。
再度、シャクナゲより笹の繁茂する道に変わっていくと、シカが更に多くなる。
もうこの頃になると、全く珍しくも無くなっていた。
高度を下げるにしたがい、植生も変わる。
ヒメシャラの明るい幹の色は美しかった。
雨がとうとう普通に降り出してきた。歩きやすいので傘を差す。
第一、第二展望台とも、当然視界は無い。
一ヵ所、新鮮な崩落があったが、特に巻くのは問題ない。
新高塚小屋で一息。ここと淀川小屋は非常に混雑することで有名らしい。
小屋の入口が雨を避けられて快適だった。
小一時間で高塚小屋。
建て替えが前から決まっているらしいが、そんな気配は感じられない。
そして、大杉が連続する歩道へ。
まずは、縄文杉。
驚いた。何にかというと、『人の多さ』に。
その様な状況では、杉が重ねてきた時間に思いを馳せることが出来ない。
大杉は続いていく。
写真は大王杉。大きいのが表現できないのがもどかしい。
唯一、独占出来たのが、このウィルソン株。
中に入れて、祠がある。
あるポイントから見上げると、ハート形になるのだそうだが、ザックの重さで身を屈められず歪なハートだ。
大株歩道、トロッコ道が始まる。
平坦で軽快に進める。脇を流れる川は増水して白く泡立ち、渓流瀑の様相。
そのまま下山するつもりだったが、楠川分岐から大峠までの登りでとどめを差されて、バスの最終便に乗れないと判断。
岩小屋になっているところで一息。
あれ程いた人が、全く来ない。本来の杉の魅力に酔うのではなく、悪い意味で人に酔った。
冷静になってみれば、永田岳を往復して高塚小屋にテントを張って、早朝に通過すれば良かったのだ。
大峠から太鼓岩へも行けるが、この天気では行く気にならない。
代わりに、苔むす森が素敵だった。
ここでも一息。屋久島最大の魅力はこれではないのかと思ってしまう。
満足して白谷小屋へ向かう。
今までの屋久島の山小屋で一番立派で、ここでも中にテントを張る。
赤岳鉱泉の方が一緒で、この日は遅れて2人組が到着してきた。
小屋は私にしてみればホテルのようなもので、雨が降るのを見ながら食事をするのも風情があって楽しい。
徐々に雨は強さを増していくが、そんな雨音も子守唄のように心地よい眠りを提供してくれる。